過酸化水素を使うと歯を白くできるって本当なの?

歯の黄ばみやヤニの付着などが気になっているときに身近なものを使って何とか対処したいと思う人もいるでしょう。漂白作用がある物質を使えば良いのではないかと考え、過酸化水素が有効ではないかと考える人もいるかもしれません。

本当に過酸化水素は歯医者で行うホワイトニングのように歯を白くすることができるのでしょうか。

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過酸化水素はホワイトニングでも使われている

結論から言えば過酸化水素を有効に活用できれば歯を白くすることが可能です。実際に歯医者で行われているホワイトニングでもしばしば過酸化水素が使用されています。

過酸化水素には塩素系の漂白剤と同じようにものを脱色して白くする作用があるので、歯についてしまった色を落とすことも原理的に可能なのです。

ただ、安易に過酸化水素を使えばきれいにできると思わない方が良いでしょう。仮に誰もが気軽に過酸化水素で歯を白くできるのであれば、歯医者はホワイトニングのサービスを提供する必要がありません。歯医者がわざわざホワイトニングをしているのには理由があるので、メカニズムの観点から理解を深めてみましょう。

過酸化水素が歯を白くするメカニズム

過酸化水素が漂白作用を示すのは、過酸化水素が酸化還元を受けやすい性質を持っているからです。過酸化水素は酸化されると水と酸素になり、還元されると水だけになるという特徴を持っています。どちらも安全な物質なので過酸化水素を使って色の原因になる物質を酸化したり、還元したりすれば安心だと考えられるでしょう。

ただ、あまり酸化力も還元力も高くはないので、着色物質を接触しただけで簡単に酸化還元反応を起こすことはできません。過酸化水素で歯を白くするときには通常は過酸化水素の酸化力を活用していますが、単純に歯を過酸化水素に浸すだけではあまり大きな効果がないのです。

ホワイトニングで過酸化水素が使用されるときにはレーザーの照射をして過酸化水素を分解して酸化力を高めているのが一般的です。「参考サイト … 湘南歯科クリニック大阪心斎橋院 … 大阪ホワイトニング

オフィスホワイトニングと呼ばれるこの方法は歯医者がレーザーを上手にコントロールすることで実現されています。過酸化水素は光を吸収することで分解してスーパーオキシドと水になります。このスーパーオキシドが高い酸化力を持っていて、接触したほとんどのものを酸化してしまうことが可能です。

スーパーオキシドを使うとコーヒーやお茶などの色素やタバコのヤニなども効率的に酸化できるので速やかに汚れを落として綺麗な歯にすることができます。

一方、ホームホワイトニングと呼ばれる家庭でもできるホワイトニングもあります。この場合にはレーザー照射をせずに過酸化水素を含む薬剤に歯をじっくりと浸すことで白くするのが一般的です。過酸化水素が太陽光などの光を受けて少しずつスーパーオキシドを出すことを利用している方法で、過酸化水素自体はほとんど漂白作用を示していません。

暗所で行うと効果が薄いので明るいところで行うようにという指示を受けることもあるのは、スーパーオキシドができてくれないとあまり効果がないからなのです。

消毒用のオキシドールでも有効か

このようにホームホワイトニングでは過酸化水素を使って歯を白くしているということがわかると、身近にある過酸化水素を使えば手軽にできると思うかもしれません。身の回りにある過酸化水素の製品としてまず挙げられるのがオキシドールです。

消毒用のオキシドールは過酸化水素の水溶液で、かなり薄められたものになっています。オキシドールでも歯を白くすることはできるのでしょうか。実は、原理的にはオキシドールで歯を白くすることは可能ですが、やってはならないという理解をしておいた方が良いでしょう。

オキシドールは怪我をしたところに塗ると痛みを伴うほどに強い刺激があります。その中に歯を浸したらわずかに傷があっただけでも激痛が走るのは想像できるでしょう。オキシドールは3%の過酸化水素水溶液というのが基本ですが、ホームホワイトニングに使う過酸化水素はもっと低い濃度のものになっています。

あまり薄くても効果はなく、濃いと激痛に悩むだけでなく歯茎を傷めてしまうリスクもあるのです。そのため、安易な気持ちでオキシドールを使うのはやめた方が良いのです。

オキシドール以外にも過酸化水素を使った製品はありますが、同様にホワイトニング用に作られていない限りは使わないのが賢明です。

安全かつ効果のあるホワイトニングを利用しよう

基本的には歯を白くしたいと思ったときには歯医者に行ってホワイトニングをしたいと伝えるのが最も安心な方法です。早く真っ白にしたいというときにはオフィスホワイトニングを選び、じっくりと自宅でホワイトニングをしていきたいという場合にはホームホワイトニングを選べば良いでしょう。

どちらの場合にも過酸化水素以外の薬剤を使用するケースもありますが、過酸化水素に興味があるなら申し出れば使ってもらえる可能性もあります。歯医者に依頼してホワイトニングをしてもらうと安全かつ効果がほぼ確実に出てくるのがメリットです。

人によって歯の汚れの原因も異なるので、経過観察をしながらホワイトニングをしてくれる歯医者のサービスの方が効果も高いでしょう。

過酸化水素と同じような漂白剤を使うのも危険

漂白作用がある過酸化水素を使って歯を白くできるのなら、他の漂白剤を使っても良いのではないかと思うかもしれません。典型的なのは衣料品の脱色に用いられる塩素系の脱色剤ですが、開けた時点で口に入れるようなものではないというのはその刺激臭からもわかるでしょう。

次亜塩素酸ナトリウムという過酸化水素よりもはるかに酸化力が高く、漂白作用が強い物質が含まれているのが塩素系漂白剤です。これを歯茎に触れさせていたら炎症を起こして大変なことになってしまうでしょう。かなり危険を伴う行為なので決してやってはならないことです。

また、非塩素系の漂白剤も流通していますが、同じことが言えます。過炭酸ナトリウムなどの塩素を含まない酸化性物質を使っているのが一般的で、ほとんどの場合には過酸化水素よりも強い酸化力を持っています。塩素系漂白剤に含まれている次亜塩素酸ナトリウムよりは刺激が少ないのは確かですが、やはり歯茎などを傷めてしまうリスクが高いのです。

歯を白くするのに漂白作用のある物質を自分で使おうと考えるのはやめておきましょう。

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